レポート&スタッフブログ
「WPC防災住宅」ならば地域を守る?
2014年の広島土砂災害で2mもの土砂に襲われながら構造躯体は無傷だったWPC住宅
■計画運休も被害がなく安心。でもその裏には・・・。
豊後水道を通り抜け、お盆の真っ最中の8月15日午後3時に広島県呉市付近に上陸。広島県への上陸は1990年の台風14号以来、29年ぶりとなった台風10号は中国地方を縦断し、日本海上で熱帯高気圧となりました。
JR西日本は15日、山陽新幹線の新大阪―小倉間で終日の「計画運休」を実施し、広島県内・山口県内の在来線もストップ。さらに広島空港発着の飛行機は全便欠航し、高速バスや安芸の宮島に渡るフェリーも欠航するなどしましたが、この「計画運休」は14日に発表されたため、多くの帰省客や観光客は帰省を早めたり、1日滞在日数を延ばすなどして対処し大きな混乱は避けられたようでした。
この台風10号は、地域によって1000mmを超える雨量が予測され、紀伊半島等で土砂災害の発生が懸念されていましたが、民家を巻き込むような土砂災害もなく、胸をなでおろした関係者も少なくないと思われます。
私は台風10号が広島県呉市に上陸した15日、まさにその広島にいました。広島は昨年7月6日に発生した西日本豪雨によって、3000か所を超える土砂災害が発生し、家と共に住人が土砂によって流され、130名以上が亡くなっています。住民の中には昨年の教訓からいち早く避難所に避難された方も多く、「またか」「まだ私たちを苦しめるのか」と思われた方も多かったのではと思います。
この台風10号もそうでしたが、各自治体が警戒レベル3の避難準備・高齢者避難開始やレベル4の避難勧告を出しました。中国地方5県では各自治体が少なくとも964か所の避難所を開設し、2143人が避難したようですが、広島県内では全23市町で532か所の避難所が開設されています。仮に532か所の避難所に1000人の避難が可能だとした場合、53万2000人の避難が可能となります・・・。広島県の人口は約280万人です。とても全員が入れる数字ではありません。ましてや1000人も避難できるレベルの避難所は稀なのです。
もちろん各自治体は、避難所への避難者数をある程度は想定して警戒レベルの発表を行っていると思われますし、住民も我が家が危険地域か安全地域かの判断をして避難行動に移っていると思いますが、もう一歩踏み込んだ各自治体の避難勧告があってもいいのではと思っています。
災害現場に数多く赴くと、いろんなものが見えてきます。避難指示がその自治体に出されたとしても、すべての地域が危ないわけではありません。
近年は各自治体がハザードマップを作成し、ホームページ等で掲載し、誰もが確認できるようになっています。土砂災害危険区域や河川が氾濫した場合の想定図など、多岐にわたって掲載してありますが、このハザードマップに従って、予め避難ゾーンを設定し、大型台風やゲリラ豪雨等が予測される場合に、避難を徹底することで家の中にいて土砂とともに流され命を失うケースが一気に減るのではないかと思われます。この場合、「オオカミ少年になるケースもあるが、とにかく避難」させることを徹底することです。加えて「逃げようと思った時にはもう道路は濁流で逃げることができなかった」という話も2018年の西日本豪雨被災地では多く聞きました。「オオカミ少年」を恐れず、早め、早めに地域によっては避難指示を出していくということを励行する、この覚悟が必要だと思われます。
私は「コラム6」で「WPC工法建物なら、もう逃げなくてもいい」と提唱しました。過去の実績から、土砂災害に遭遇しても建物自体に重量があることで流されず、土砂を受け止めていることから、私が推進する「防災住宅」によって、例え土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)であったとしても、山側の1階開口部をなくし、谷側に開口部を集中させることで開口部からの土砂の流入を防ぎ、耐えられると考えています。(地滑りの可能性がある地域については、地盤改良等が必要)
土砂災害防止法で特別警戒区域(レッドゾーン)にある住宅の移転・改修には補助制度があります。
であるならば、土砂災害に耐えうる強度のあるWPC工法の住宅新築には同様に補助金を出してはいかがでしょうか。その地に「WPC防災住宅」が建てば、避難所として使用が可能で、補助金を出す代わりに「避難所」としての役割を演じる条件を出すことで、その地域を守ることも可能となるのです。夜間に急なゲリラ豪雨が襲ってきた場合、住人は逃げることができない現実があります。そのような時、間違いなくWPC工法の住宅は「避難所」としての役割を演じてくれる、そう確信しています。
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